@ サンタ・ルチア駅前とホテル「アッレ・グーリエ」  
     
A ヴェネツィアの大運河巡り  
     
B ヴェネツィアの路地歩きと「サン・マルコ広場」  
     
C サン・マルコ広場でのヴァイオリンの生演奏  
     
D ヴィヴァルディと教会での演奏会  
     
E 一般情報  
     
  旅行時期:2009年10月25日〜10月27日
為替レート:1ユーロ=132円
 
@ サンタ・ルチア駅前とホテル「アッレ・グーリエ」
  ハプスブルク家の帝都「ウイーン」からアルプス越えをして水の都「ヴェネツィア」に来ると、気候も風景も(恐らく人も)劇的に変化する。まぶしい太陽、青い空、青い海、赤い屋根と白い壁、アドリア海に浮かぶ真珠ヴェネツィアはどこも輝いている。長距離列車に揺られながら国境を越えることにより、この劇的な変化を肌で体験できる。ヨーロッパ国際特急列車の旅の醍醐味である。

ヴェネツィアの朝、空は晴れわたりひんやりした風が心地よい。サンタ・ルチア駅前のスカルツィ橋から大運河の風景(写真1写真2)を眺める。モーターボート、ヴァポレット、ゴンドラが行きかう風景はまるで中世の絵画の世界である。この眺めをしばらく楽しむ。ヴェネツィアとその潟(-かた)は、1987年世界遺産に登録された。

スカルツィ橋正面に見事な「リ・スカッツィ教会」(写真3)がある。教会内部(写真4)は豪華で重厚。観光客も地元の人も足早に教会の前を通り過ぎていく。私も祈りを捧げる間もなく、教会を出る。サンタ・ルチア駅前から左方向へ延びている広い「Lista di Spagna」通りをサン・マルコ広場方面に進む。この通りには様々なグレードのホテルがあり、しかも安いホテルが多いので鉄道旅行者にとっては利用価値大である。

サン・ジェレミア広場(写真5)には土産物屋(写真6)が連なり観光地らしい雰囲気が漂う。広場を過ぎ、ホテルやカフェ、ショップが連なる道を抜けると小運河(写真7)に架かる橋「アッレ・グーリエ」に出る。この橋のたもとに素敵なレストラン(写真8)を見つけた。実におしゃれで絵になる。アッレ・グーリエ橋から北の方向(写真9)を見ると路上では朝市(写真10)が立ちヴェネツィアの一日がはじまる。この朝市(マーケット)の真正面に私が予約したホテル「アッレ・グーリエ」がある。

このホテルはサンタ・ルチア駅前から徒歩10分、主要道路に面しているので人通りが多く、夜、駅前から歩いて帰宅する場合でも怖くない。ただし、それ程いいホテルではない。1泊朝食付き2名で16112円(税・サ込み)の3星ホテル。インターネット予約は「Expedia.co.jp」利用。狭い部屋の中央にツインベッド(写真11)が置かれ狭いシャワーブースと小さなデスクがある程度である。寝るだけと割り切って、駅からのアクセスと安全性・値段を考えて選んだ。我々夫婦はここで2泊する。

ホテルの朝食は何と朝8時オープン。イタリア人はのんびりしている。非常に狭いが内装の美しいレストラン(写真12)に驚く。2階にあるレストランの窓からは朝市(写真13)がよく見える。ごく普通の味のコンチネンタル・ブレックファースト(写真14)を済ませて、すぐにヴェネツィア観光に出発する。ホテル前の露店(写真15)が早くも活気づく。

 
     
A ヴェネツィアの大運河巡り
  ヴェネツィア観光の第一は「大運河めぐり」であろう。長さ約4kmの大運河に沿って12〜17世紀の建物が建てられており、各駅停車のヴァポレットに乗って運河巡りをすれば、それらの歴史的絵巻物が見学できる。特に1300〜1400年代のゴシック様式による優美な建築が多く、当時のヴェネツィアの富と文化の高さを示している。

まずはサンタ・ルチア駅前の「ヴァポレット」乗船口の切符売り場で1回券(6.5ユーロ、858円)を購入。1番のヴァポレット(写真16)に乗りサン・マルコ広場に向かう。

進行方向左手にヴェンドラミン・カレルジ宮(写真17)が見えてきた。初期ヴェネツィアン様式の建物。現在市営カジノが開催されている。1883年、作曲家ワーグナーがこの家で没す。次に、連続したアーチと屋根の尖塔が印象的な「カ・ドーロ」(写真18)。ヴェネツィアン・ゴシックの代表建築で現在内部はフランケッティ美術館になっている。かって正面は黄金に塗られていたという。

リアルト橋(写真19)は大運河にまたがる4つの橋のうちで最大規模を誇り、長さ48m、幅22.1mもある。1264年木造の橋は崩落し、16世紀後半に大理石製の橋に架け替えられた。リアルト橋からサンタ・ルチア駅方面(写真20)には沢山の土産物屋が並んでおり、幅の広いリアルト橋の上にもショップがある。そして、様々なショップはサン・マルコ広場方面(写真21)へと続く。リアルト橋付近はレストラン、ホテル、ショップが連なり、観光客がひしめき合っている。

リアルト橋の上で立ち止まり、しばらく大運河を行き交うゴンドラ(写真22)を眺める。この風景を何と形容すればいいのか?感動!リアルト橋からの反対側の眺め(写真23)も素晴らしい。特に、こちら側は運河沿いにオープンカフェ・レストランが立ち並び一層華やいだ雰囲気になっている。

リアルト橋付近にあるオープンテラスのレストラン(写真24)に座ってカフェやランチ、または、豪華に夕暮れのディナーでもいかが?それとも、ちょっときどって、観光客の少ない午前中に1人で岸辺のテラス席(写真25)に座ってカフェ(エスプレッソ)を飲む。読めもしな地元の新聞でも開いて時間をつぶせば、あなたはイタリア人?チャオ!

リアルト橋の近く、サン・ジャコモ・リアルト教会の裏手の岸辺(写真26)で、ゴンドラの船頭(ゴンドリエーリ)が客待ちをしていた。ゴンドラは11世紀の終わりに初めて現れたと言われる。現在の形は17世紀のもの。

ヴァポレットに乗ってリアルト橋をくぐり、サン・マルコ広場方面へと下る。遠くから見たリアルト橋と教会の尖塔(写真27)が美しい。ゴンドラ(写真28)は神出鬼没、大運河から小運河、小運河から小さな路地まで、変幻自在の動きをする。最盛期には1万もあったといわれるゴンドラも現在は観光用に約500を残すのみとなった。外壁が白くて大きな建物が「グリマーニ宮」(写真29)。1500年代のロンバルディア様式の白大理石でできたエレガントな建物で、サン・マルコの行政長官グリマーニのために建てられたという。現在は裁判所になっている。

大運河を挟んでグリマーニ宮と反対側にあるのが「パパドーポリ宮」(写真30)。屋根に立つ2本のオベリスクが印象的な建物で1500年代に建築された。大運河のほとりには有名な建築物以外にも美しい建物がいっぱいある。ヴァポレットに揺られながらの大運河めぐりは実に楽しい。

我々は昼間2回、夜1回、合計3回もヴァポレットに乗ったが、驚いたことに乗る時も降りる時も一切切符のチェックがない。無賃乗車しても全く分からない。1回6.5ユーロ(858円)と安くないだけに、摩訶不思議?正直者ばかりとは思えないが‥‥。

ヴァポレットは大運河に架かる最後の橋「アカデミア橋」(写真31)をくぐる。木製の優美な橋であるが、木の芯に鉄が隠されているという。アカデミア橋から望むサルーテ教会と大運河(写真32)も美しい!イタリア中世の絵画の世界。この風景は私を画家か、詩人か、作家にさせる。

大運河も終わりに近い所に建つ堂々とした「コルネール宮」(写真33)。長らく繁栄を誇ったコルネール家のために造られた。現在はヴェネト州庁舎として使われている。大運河最後の場所にそびえる「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会」(写真34)。1631〜1681年の間に建立されたものでヴェネツィア・バロックを代表する教会。当時蔓延していたペスト終焉を聖母マリアに感謝して建てられたという。

サルーテ教会を過ぎればヴェネツィア内を流れる大運河は消え、海のように広いサン・マルコ運河に続く。遠くにサン・マルコ広場の鐘楼が見える。海から眺める「鐘楼」と「ドウカーレ宮殿」(写真35)も格別のものがある。ヴァポレットを「サン・マルコ」ではなく次の停車場「サン・ザッカリア」で降りるとこの眺めが味わえる。そして、サン・ザッカリア付近から見た「サン・ジョルジョ・マッジョーレ島」(写真36)の美しさは形容の仕様がない。ヴェネツィアは美しさにあふれている。私はここから見た「サン・ジョルジョ・マッジョーレ島」(写真37)が一番気に入った。

日中はゴンドラ、モーターボート、ヴァポレットが行き交うサン・マルコ運河も夕暮れと共に静かになる。夕陽がサン・ジョルジョ・マッジョーレ島を照らし、まわりがピンク(写真38)に輝く。トワイライトの「サン・ジョルジョ・マッジョーレ島」(写真39)私のベスト・ショット。

サン・マルコ運河に突然不夜城が現れた。見てみると巨大な豪華客船(写真40)が悠然と通っていく。ヴェネツィアは地中海・エーゲ海クルーズの重要な寄港地、次回はクルーズの客として海からヴェネツィアを訪れてみるか?夢は広がる‥‥。

 
     
B ヴェネツィアの路地歩きと「サン・マルコ広場」
  大運河からの眺めを堪能した後は、ヴェネツィアの路地歩きがいい。サンタ・ルチア駅前からスカルツィ橋を渡り、サン・マルコ方面の標識(PER S.MARCO)に従って歩いていけば「リアルト橋」→「サン・マルコ広場」に着く。ただし、標識を見失うと全くの迷路になる。我々は2度も道に迷い迷路探検をしたが、これもまた楽しい。

サンタ・ルチア駅前から標識に従って歩いていくと小運河のほとりに出た。有名でもない建物の白い外壁に見事な顔の彫刻(写真41)が並んでいる。今日は10月26日(月)、風もない快晴の朝。小運河の水面(写真42)に周囲の建物が映って微かに揺れている。迷路のような小道を進むと、小さな運河に突然ゴンドラ(写真43)が通り抜けていく。ヴェネツィアはおとぎの国のワンダーランド、数々の発見がある。

ヴェネツィアのほぼ中心にある「サン・ポーロ広場」(写真44)に出る。ここは町で一番大きな広場で、祭りの時には様々な催しが開かれるという。サン・ポーロ広場に面して建つサン・ポーロ教会と鐘楼の前を通り過ぎ標識に従ってリアルト橋方面に進む。小道は左に右に曲がり、運河も何度も渡る。よって、自分がどこを歩いているのか分からなくなってしまう。

サンタ・ルチア駅前から1時間以上かけて、ようやくリアルト橋のたもとに着く。お腹が減ってきたので、リアルト橋付近のレストラン「サン・バルトロメオ」(写真45)に入りランチにする。1階がカウンター形式でテイクアウトもできるセルフサービスレストランであるが、2階に上がるとテーブル席(写真46)があり、落ち着いた雰囲気で食事ができる。2階席がお客が少なくおすすめである。我々のランチメニューは「大盛りのサラダ、パン付き(写真47:9ユーロ)」「ピザ(トマト、モッツェラチーズ、ハム、マッシュルーム:写真48(9.5ユーロ)」飲み物8ユーロ、席料2人分4ユーロ、合計約30ユーロ(3960円)。この程度のランチで1人2000円もするのであるからヴェネツィアは物価が高い。お味の方はGoodです。

リアルト橋のたもとのサン・バルトロメオ広場から、標識に従ってサン・マルコ広場に向かうと「メルチェリエ」と呼ばれる路地を通る。道の両側にブティック、バール、土産物屋などがひしめき合い、値段を見ながら歩くだけでも楽しい。中でもメルチェリエでの仮面屋(写真49)さんには見事な仮面が並んでいる。

サン・マルコ広場に近い運河(写真50)に来ると、ゴンドラが多くなる。今日は天気がいいので、お客もゴンドリエーリも気分がいい。参考までに、ゴンドラの基本料金は1艘6人まで40分で80ユーロ(10560円)、以降20分ごとに40ユーロ(5280円)。1人あたりにすれば1時間乗っても2640円なのでそれ程高くない。(6人で乗る場合)サン・マリコ寺院の回廊を抜けたところにオルセオロ運河があり、ゴンドラの係留所になっている。その正面にホテル「カバレット・エ・ドージェ・オルセオロ」(写真51)があり、ホテル、運河、ゴンドラが一体になってヴェネツィアらしい雰囲気を出している。

やってきました「サン・マルコ広場」(写真52)雲一つない快晴の下、サン・マルコ寺院が輝いている。我々の気分も最高潮に盛り上がる。巨大な、壮麗な、見事な寺院。近くによってしばらく見上げる。828年、エジプトのアレキサンドリアから2人のヴェネツィア商人が「聖人マルコ」の遺体を運んできた。サン・マルコ寺院(写真53)はこの遺体を祀るために建てられたという。

サン・マルコ寺院と一体になっているドゥカーレ宮殿(写真54)。ヴェネツィア共和国総督の居城として使われたほか、国会、行政、裁判、牢獄の機能も果たした。ヴェネツィアの富と権力の象徴であり、内部見学をすると、その凄さが分かる。

ドゥカーレ宮殿の前から東に続く広い海岸通りが「スキアヴォーニ河岸」で、運河に面して高級ホテルが建ち並んでいる。ホテル「ロンドラ・パラス」(写真55)はその中心に位置する。スキアヴォーニ河岸の前にはヴァポレットの船着場やゴンドラの係留所(写真56)があり非常に賑わっている。ここから眺める「サン・ジョルジョ・マッジョーレ島」が素晴らしい。

サン・マルコ寺院の入口前にある高さ96.8mの鐘楼(写真57)。屋上までエレベーターで上がれ、そこからのヴェネツィアとラグーナの眺望が楽しめる。必見の場所!ただし、時間待ちの長蛇の列を覚悟しなければならない。幸運にも今日は快晴。鐘楼に登らずして帰れない。お登りさんの典型であるが、我々も1時間くらい時間待ちをして登る。ヴェネツィアは街全体が赤いレンガ屋根と白い壁で統一されており美しい。以下、屋上からの壮大な眺め。

◎スキアヴォーニ河岸とサン・マルコ運河方面(写真58
◎サン・マルコ寺院の5個のドームとドゥカーレ宮殿(写真59
◎ラグーンに浮かぶサン・ミケーレ島方面(写真60
◎サン・マルコ広場(写真61
◎サン・マルコ広場のオープン・カフェ(写真62
◎サンタ・ルチア駅方面に停泊している豪華客船(写真63
10万トン級のクルーズ船の乗客は2000人を越え、それらのお客が一斉にヴェネツィア観光に訪れる。よって、ヴェネツィアはいつも観光客であふれ物価も高い。

太陽が西に傾き、日が陰ってくると急に寒くなる。厚めのコートを着て夕陽に輝くサン・マルコ広場(写真64)にもどる。夕方のサン・マルコ寺院(写真65)は昼間とは違った色を帯びる。正面に飾られた金色のモザイクとゴシック様式の繊細な尖塔が夕陽に照らされて金色に輝く。これもまた見事! サン・マルコ寺院のアーチの上には様々な像や尖塔があり、繊細で巧妙な出来栄えに感心する。サン・マルコ寺院正面最上部に「聖マルコと有翼の獅子像」(写真66)が金色に輝いている。聖マルコはキリストの福音書の4人の著者の1人でヴェネツィアの守護神。有翼の獅子は彼のシンボル。

 
     
C サン・マルコ広場でのヴァイオリンの生演奏
  ヴェネツィアは音楽で溢れている。特に、サン・マルコ広場で朝から晩まで繰り広げられる生演奏は特筆ものである。ここに来た観光客は誰しも立ち止って生演奏に聞き入る。コーヒーを飲みながら若い女性ヴァイオリニストの演奏を身近で聴ける。こんな楽しい場所はない。さらに、ヴェネツィア市内では毎夜どこかの教会やホールで演奏会が行われている。よって、それらを探して聞きに行くのも楽しい。

サン・マルコ広場では3ヶ所に特設コンサート会場とオープンカフェがある。(サン・マルコ小広場でも1ヶ所あるので合計4ヶ所)黄色の椅子が目立つカフェ「カルロ・ラヴェーナ」(写真67)。ここでは若くて綺麗な女の子(写真68)が華麗なヴァイオリンの演奏をしている。男性(おじさん)とのヴァイオリン2重奏の場合もある。立ち止まってしばらく演奏に耳を傾ける。

カフェ「フローリアン」(写真69)の前では金髪が美しい女性が激しくヴァイオリンを奏でている。演奏はうまいのであるが、なぜか、いつも客は少ない。鐘楼が邪魔になって客席からサン・マルコ寺院が見えにくいことが原因か?カフェ「フローリアン」の歴史は古く何と1720年オープンである。コーヒーは17世紀初めにトルコからヴェネツィアに持ち込まれ、そしてヨーロッパに広まったといわれる。そして、最初のカフェが17世紀にサン・マルコ広場に開かれた。現在残っている老舗カフェで最も有名なのが、ここ、カフェ「フローリアン」なのである。

3会場で一番人気のあるカフェが赤い椅子の「クアードリ」(写真70)である。日当たりがよく、客席からは程よい距離でサン・マルコ寺院の全体が見渡せる。そして、何よりも今回は出演者がいい。若き女性4名による弦楽四重奏(写真71)。4人とも黒いドレスに黒いサングラス、そして金髪の髪の毛をなびかせて熱演する。かっこいい!

我々もここで休憩タイム(写真72)にし、カフェラテ(8.5ユーロ)とカプチーノ(8.5ユーロ)を注文。ゆっくり彼女達の演奏とサン・マルコ広場の雰囲気を楽しむ。水はサービス。この楽団の華はファーストヴァイオリンの女性(写真73)である。体をゆすり金髪の長い髪を振り乱しながら激しく演奏する。実にかっこよくて、しびれる〜。20分ほど彼女達の演奏を楽しんで会計をすると席料として2人で11.4ユーロ加算されていた。よって、合計28.4ユーロ(3749円)にもなった。世界一高いカフェ?以前来た時には席料は取られなかった気がするが‥‥。誰もいないカフェ「クアードリ」の店内(写真74)、この2階に綺麗なトイレがあり、無料で使える。

 
     
D ヴィヴァルディと教会での演奏会
  サン・マルコ広場ではなぜヴァイオリンの生演奏が常時行われているのか?その鍵はイタリア・バロック音楽の最大の作曲家「アントニオ・ヴィヴァルディ(1678〜1741)」にある。彼はヴェネツィアで生まれ若くして司祭になり、ピエタ教会(女子養育院:写真75)で聖楽隊を指揮していた。ヴァイオリンの名手であったヴィヴァルディは330曲もの弦楽曲を作曲し協奏曲の王とも呼ばれる。

サン・マルコ広場にある「ATENEO S. BASSO」(写真76)この会場でサン・マルコ・チャンバー・オーケストラが連日(日曜日のみ休演)演奏会を行う。曲目は日替わりで2種類
@ヴィヴァルディの四季を中心とした弦楽合奏
Aヴィヴァルディとオペラ
開演20:30、料金は全席自由席で25ユーロ。
ヴェネツィアでは郷土の英雄ヴィヴァルディを偲んで連日連夜、弦楽合奏の演奏会をするのである。

リアルト橋近くのサン・サルヴァドール教会(写真77)の前を歩いていたらヴィヴァルディの曲が隣の教会(写真78)から聞こえてきた。中に入ってみるとコンサートホールになっており、ここでも連日演奏会を行っている。会場名は「Scuola Grande di San Teodoro」オーケストラは「The Orchestra I Musuci Veneziani」18世紀の衣装を身にまとって連日(土曜日、月曜日休演)演奏会を行う。
曲目は日替わりで2種類
@ヴィヴァルディ、アルビノーニ、パッフェルベルの弦楽合奏
Aモーツアルト、ベルディ、ドニゼッツィ、プッチーニ等のオペラ開演20:30、フロント席35ユーロ、バック席25ユーロ

サン・マルコ広場から出て大きな通りを西に進むと外壁の装飾が見事な「サン・モイゼ教会」(写真79)がある。サン・モイゼ教会から高級ショップ店が連なる「3月22日通り」を過ぎ、小さな運河を渡ると「S. Maria Del Giglio教会」(写真80)がある。これも見事!Giglio教会の北側に「フェニーチェ劇場」(写真81)がある。

17世紀から18世紀にかけてヴェネツィアでは人々の最大の娯楽は劇場でのオペラ観賞や演奏会であった。純バロック様式で贅を尽くしたフェニーチェ劇場(写真82)は1792年に完成。しかし、1837年火事で焼失。再建されたが再び1991年の火事で内部がすべて焼失されてしまった。不死鳥フェニーチェ劇場は2003年12月再建された。開演20:00、入場料40〜10ユーロ。コンサート、オペラ公演など多数あり。

フェニーチェ劇場近くを歩いていたら、サン・マウリッツッオ広場に面して建つヴィヴァルディ博物館?(写真83:Antonio Vivaldi eil suo tempo)を見つけた。入場無料なので気楽に中に入ってみるとバロックの曲が静かに流れている。嬉しくなってじっくり内部(写真84)見学をする。教会の内部を博物館にしたようで、ヴァイオリンを中心にビオラ、チェロなど古い時代の弦楽器が展示(写真85)されている。ヴェネツィアにおけるヴィヴァルディの偉大さをここでも感じる。

夜のサン・マルコ広場(写真86)も趣きがある。3ヶ所のカフェは遅くまでオープンしており、特設ステージでは生演奏が続行されている。10月下旬のヴェネツィア、夜は寒くなる。ヴァイオリニスト(写真87)も厚いコートを着てステージに立つ。朝から晩まで交代勤務(演奏)で、なかなかハードな仕事と推測される。ご苦労さま。

さて、これだけヴィヴァルディやバロック音楽に溢れたヴェネツィアに来た以上、どこか演奏会を探してコンサートに行くしかない。我々夫婦はサン・ステファーノ広場にあるオープン・レストラン(写真88)で腹ごしらえをし、近くにある今夜のコンサート会場である「サン・ビダル教会(写真89:San Vidal Church)」に向かう。

「ヨーロッパの教会でバロックの生演奏を聴く」これが以前からの私の夢であった。今夜、夢が叶う。

演奏は弦楽合奏団「The Interpreti Veneziani」。1987年にデビューし、来日公演もしている。年間200日以上の演奏会をヴェネツィアのサン・ビダル教会で開く。今夜のプログラムは、
@ヴィヴァルディ「2つのヴァイオリンのための協奏曲」
Aヴィヴァルディ「ピッコロ協奏曲」
Bバッハ「ヴァイオリン協奏曲」
Cヴィヴァルディ「フルート協奏曲」
DGiovanni Paisiello「ピアノ協奏曲」
開演は20:30、全席自由席で料金は24ユーロ(3168円)早めに教会に行き前の方の席を確保する。教会内部(写真90)は天井が高く壁画も素晴らしい。続々とお客が詰め掛け満席に近い。Good.

そして、演奏がはじまった。2人のヴァイオリニストが絶妙に掛け合ってヴィヴァルディの協奏曲を演奏していく。しかし、意外にも、教会内に音が響き過ぎて金属的な音に聞こえてくる。本来柔らかな弦の調べが冷たい石の壁に反響して電子音のように聞こえてくる。教会はコンサートホールではない。私の夢は冷めた!(注:あくまでも私の主観です)

コンサートの後、アカデミア橋からヴァポレットに乗って夜の大運河を巡りながらホテルに帰る。たった2泊3日であったが素晴らしいヴェネツィア滞在になった。明日はミラノに行く。

 
     
E 一般情報
  ヴェネツィアでのコンサート会場

◎フェニーチェ劇場のホームページ(英語版)
http://www.teatrolafenice.it/index.php

                                        (2010年4月 掲載)