@ ニューヨークにロングステイ、さて、どこに泊まるか?  
     
A まずはエンパイアビルの展望台へ  
     
B マンダリン・オリエンタルホテル35階ラウンジで朝食を!  
     
C 行かねばならない自由の女神とエリス島  
     
D お金の行き先はここで決まる、ウオール街  
     
E 留学生気分でニューヨーク大学、コロンビア大学へ  
     
F 最後はニューヨークの超高級ホテルめぐり  
     
G 一般情報  
     
     
@ ニューヨークにロングステイ、さて、どこに泊まるか?
  ニューヨークのホテル代は非常に高い。1泊のルームチャージが3万円〜4万円は当たり前である。もちろん1泊2万円以下のホテルもあるが、私はホテルの豪華さにこだわりたい。いかに安くて豪華にニューヨークに滞在できるか?個人旅行の腕の見せ所である。

私の選んだホテルは「ニューアーク・エアポート・マリオット」、安くて豪華に泊まるために便利さを犠牲にし、ニューヨーク郊外に目を向けたのである。まずは、ニューヨーク・マンハッタンの中心にあるペンシルバニア駅からローカル線のニュージャージートランジットの電車(写真1)に乗る。30分くらいニューヨーク郊外の車窓を楽しんでニューアーク・リバティ・エアポート駅下車。ここから24時間営業の快適なエアトレインに乗ってニューアーク国際空港P4ステーションで下車。しばらく待つと真っ赤な車体をしたマリオット専用のシャトルバス(写真2)が迎えにくる。シャトルバスは24時間年中無休で巡回運行しているので、夜中でもここで待てばいい。

ニューアーク・エアポート・マリオットホテルはニューアーク空港の内側にある堂々としたホテル(写真3)である。空港内のホテルなのでセキュリティは万全である。広いフロント・ロビー(写真4)を見れば、高級ホテルであることがすぐ分かる。フロント横に24時間対応のビジネスセンター(写真5)があり、その前にウエルカムドリンクとクッキー類が置いてある。私は、ロビーにあるピアノ(写真6)の横の椅子に座って、朝はモーニングコーヒーを飲みながらシャトルバスを待ち、夕方、帰宅した時はジュースを飲んで一休みする。ちょっとしたサービスであるが、満ち足りた気分になる。

大理石のピカピカに磨かれた廊下(写真7)を通って7階に上がる。エレベーターはカードキーを挿入しないと動かないシステムになっている。客室の廊下(写真8)も気品がある。このホテルに8連泊できる。期待が高まる。

私の部屋は7階のコーナー(701号室)。インターネットで眺めの良い高層階の部屋をリクエストしておいたらそのとおりになっていた。夕陽が綺麗に見える。キングサイズのベッド(写真9)、シャワーを浴びた後にくつろぐソファー(写真10)、テレビとデスク周辺(写真11)、コーヒーメーカーもあり毎日快適に滞在できそうである。

施設もかなり充実している。レストラン・ショップは当然として、高級ホテルには必需品の室内温水プール(写真12)とフィットネスルーム(写真13)もある。極めつけは室内プールと水中でつながっている屋外温水プール(写真14)である。ここのラウンジチェアに寝っ転がっていると、ここはリゾートホテルか?と一瞬錯覚する。

ニューヨーク郊外のリゾートホテル(実際はエアポートホテル)にロングステイする。さて、そのお値段は?

通常の宿泊代金は1泊$200〜$300程度である。ところが、私はインターネットで調べていて、7泊以上連泊すると格安になるロングタームプランがあることを知った。何とその値段は1泊119$、諸税を加えて約136$(1$=120円として16000円程度)であった。この値段でニューヨーク近郊のマリオットホテルにロングステイできる。私はこのホテルに8連泊して連日ニューヨーク観光に出かけたのである。

しかし、実際に毎日マンハッタンまで電車で移動してみると結構面倒である。私は便利さを犠牲にして安くて豪華なニューヨーク郊外のホテルに滞在したのであるが、忙しい人にはお勧めできない。しかし、逆に考えれば、ローカル線に乗って毎日マンハッタンまで「通勤」することによって、人種のるつぼニューヨークの素顔に接することが出来る。電車内を見回してみるとアジア系、インド系、アフリカ系の人も多い。世界中の人がニューヨークに集まっていることが実感できる。
 
     
A まずはエンパイアビルの展望台へ
 

ニューヨーク観光の第一歩は「エンパイア・ステート・ビル(写真15)」であろう。平日の朝、私は早めにホテルを出発し、8時半ごろにニューヨークのペンシルバニア駅に到着(写真16)、ニューヨーカー達が足早に通り過ぎていく。ここから歩いてエンパイアに向かう。

エンパイア・ビル(写真17)は朝日に輝いていた。早速、ビルに入りエントランス(写真18)を通りエレベーターを2機乗り継いで86階の展望台へ急ぐ。セキュリティーチェックが厳しい。朝9時を少しまわった時間帯なのでスムーズに展望台に上がれた。それでもオープンデッキにはかなりの人だかりである。

英語でSPECTACULAR(壮観な、目を見張る)という形容詞があるが、エンパイアビルの展望台からの眺めはまさに壮観である。まずは南の方向にロウアー・マンハッタンに集中する摩天楼(写真19)が見える。カメラをズームで拡大すると遠くに自由の女神像(写真20)がはっきり見える。東側にイーストリバー(写真21)があり、うろこ条形の尖塔のクライスラービル(写真22)もすぐそばにそびえる。北側には広大なセントラルパーク(写真23)が広がり、西側にはハドソンリバー(写真24)が海に向かって流れている。天気がいいのでゆっくりしておりたかったのであるが、続々と観光客がやってくる。エレベーターが混まない内に退散する。

この日はミッドタウン中心の見所をまわることにする。のんびり歩きながら北東に向かう。マンハッタンの道路は碁盤の目のように整然となっているので、比較的分かりやすい。マンハッタンを南北に走るアベニューの名前と東西に走るストリートの番号を頭に入れ、地図を片手に歩いていけばなんとかなる。

次に向かった場所は「グランド・セントラル駅」である。1日に500本もの近・中距離列車が発着するターミナルで、レストラン、ショップ、高級デリカ、スーパーなどが入った巨大ショッピングモールになっている。玄関を入った中央の巨大なドーム(写真25写真26)が素晴らしい。行き交う人々をぼんやり眺めながら、ドーム内のカフェでコーヒータイムにする。

グランド・セントラル駅のすぐ東側にアールデコ建築の傑作である「クライスラー・ビル(写真27)」がそびえている。とりあえず写真だけ撮って、今日のもう1つの見所「ロックフェラー・センター」に向かう。

ロックフェラー・センターの中心で、冬の「豪華なクリスマスツリーとアイススケートリンク」の舞台、チャネル・ガーデン(写真28)に行く。ガーデン中央にあるゴールドの彫刻(写真29)が光り輝いている。見上げれば70階建ての「G.Eビル(写真30)」が君臨している。天にも昇る勢い。G.Eビル70階に展望台がオープンしており、エンパイアが混んでいる時にはこちらに回れば時間短縮になる。

ロックフェラー・センターの東側は5番街(写真31)に面しており高級ブランド店やデパートが並んでいる。すぐそばに、全米最大のカトリック教会「セント・パトリック教会(写真32写真33)」もある。観光客もいっぱいいる。小学生や中学生の団体旅行もよく見かける。ニューヨークは世界中から観光客を惹きつけると同時に、全米からもお上りさん達が来ることを実感する。

午後は近くの「ニューヨーク近代美術館」でゆっくり美術鑑賞をする。この日は見所満載のニューヨーク・ミッドタウン観光であった。

 
     
B マンダリン・オリエンタルホテル35階ラウンジで朝食を!
 

セントラルパークの南西の端、コロンバス・サークル(写真34)に面して80階建ての新しいビル「タイムワーナー・センター(写真35)」がそびえている。このビルの35階から54階にニューヨーク随一の眺望を誇る「マンダリン・オリエンタルホテル」がある。1泊10万円以上もするニューヨークでも指折りの超高級ホテルである。

ある日の朝、私はホテルでは何も食べずマンダリン・オリエンタルホテルに向かった。9時半頃、タイムワーナー・センターに到着。吹き抜けのホールからガラス越しに見る景色(写真36)が美しい。早速、35階のロビー(写真37)に上がり、朝日にまぶしいラウンジ(写真38)を訪れる。平日の午前中なので、お客は少なく、幸運にも窓側の席に案内される。席に着くや否やウエイトレスが私のラストネームを聞いてくる。一瞬、「ドキッ」としたが、平然と答える。宿泊者かどうかの確認のためだろうか?

マンダリン・オリエンタルホテルのラウンジからの景色(写真39)は実に素晴らしい。セントラルパークが一望のもとに眺められ、背後にはニューヨークの摩天楼が続く。広大な緑の森と超高層ビル、そして青い空、このコントラストの美しさは感動ものである。この景色を見るために私はわざわざこのホテルに来たのである。ラウンジ内にはいやし系の音楽が静かに流れている。私は、コンチネンタルの朝食(写真40)を注文し、コーヒーのお代わりを何杯もして最高に優雅な朝食を味わった。税・チップを含めて3000円以上払ったが、その価値はあると思う。

ラウンジの隣りにはレストランがある。ラウンジ同様、大きなガラス越しにセントラルパークを見下ろし、ディナーには最高のロケーションとなる。ディナータイムには1テーブルに1組しかお客を受け入れせず、数ヶ月先まで予約で埋まっているという。料理の値段を聞くのを忘れたが、一体どんな人達がこのホテルに宿泊し、このレストランで食事をするのだろうか?と想像しながら、マンダリンホテルを後にした。

次に向かったのはセントラルパークである。コロンバス・サークルから公園に入り、大きな木々の新緑を楽しみながら「シープ・メドウ(写真41写真42写真43)」に行く。ここは1934年まで牧草地として使われていた所で、羊が放牧されていたところから名付けられたという。次に、「ザ・レイク(写真44)」のほとりを通って小高い丘の上にある「ベルベデラ・キャッスル(写真45)」に行く。ここからの眺め(写真46)は絵葉書のように美しい。この景色を見ながらしばらく休憩する。

歩いて回るとセントラルパークは意外と広い。南北約4q、東西約800mある。散歩道は入り組んでいるし、坂もたくさんあるので結構疲れる。最初はジャクリーン・ケネディ・オナシスのマラソンコースである「貯水池」を周回して帰ろうと思ったが途中で止めた。

ベルベデラ・キャッスルから東に向きを変えて歩いていくと、突然、広大な芝生「グレートローン(写真47)」に出会った。私は大きな木の木陰に座り、持参したサンドイッチと水で簡単な昼食にする。その後、芝生の上に大の字になって昼寝をした。実に気持ちがいい。新緑のセントラルパーク、五月晴れの天気、さわやかな風が心地よい。ふと考えてしまう。もし私が金持ちなら、マンダリン・オリエンタルホテルにロングステイして、朝・夕、セントラルパークをジョギングするのであるが……。あるガイドブックによればタイムワーナー・センターの上層階は売値が3億円から5億円の超高級コンドミニアムになっているという。誰が買っているのか?

グレートローンを抜けて東の方向に歩いていくとすぐに「メトロポリタン美術館(写真48)」に行きあたる。メト美術館での美術鑑賞は1日ががりになるので入場は別の日にする。美術館の前の道(写真49)は5番街である。セントラルパークに沿って五番街の広い歩道を南に下って行く。途中、高級ホテル、コンドミニアム、ショップ等を見ながら(写真50)かなりの距離を歩く。バスに乗ってもいいのだが、渋滞が激しい。やっとのことで公園南東入り口付近(写真51)まで来る。出発点のコロンバス・サークルはもうすぐである。

この日の夜はブロードウエイのロングラン・ミュージカル「オペラ座の怪人」を見にマジェスティック劇場に行く。

 
     
C 行かねばならない自由の女神とエリス島
 

ニューヨークに来たのならどうしても行かねばならない場所がある。「自由の女神とエリス島」である。天気がいいので、私は早めにホテルを出発し、8時半ごろにニューヨークのペンシルバニア駅に到着。駅構内のテイクアウトショップ(写真52写真53)でサラダ、パン、ジュースを買いテーブル席で簡単な朝食にした。

ペンシルバニア駅から地下鉄1番線に乗って終着駅「サウス・フェリー」に向かう。ここでハプニングが起きた。サウス・フェリーに近づくと、私の乗っている客車には誰もいなくなり、そのうち真っ暗な地下トンネル内で電車が止まってしまった。一瞬不安になったが、再び電車は動きはじめ「サウス・フェリー駅」を通過して、Uターンをしてマンハッタンを北上しはじめた。それに気づいた私は、次の駅「レクター・ストリート」であわてて飛び降りた。後で分かったことであるが、サウス・フェリー駅のホームは短く先頭から5両くらいまでの客車に乗っていないとホームに出れないとのことである。

午前10時頃、フェリー乗り場がある「バッテリー・パーク(写真54)」に到着。既に順番待ちの長い列が出来ている。朝、のんびりしていたことを少し後悔しつつ、チケットを買って最後尾に並ぶ。天気がいいし気分も良かったので、私の後ろに並んでいた中年の夫婦に話しかけた。カナダ・バンクーバーからニューヨーク観光に来ていたボブ&スーザン夫妻である。

バンクーバーは私の憧れの地である。聞きたいことはいっぱいあるので、色々質問してみた。夫妻は語る…

「私達の住んでいるリッチモンドのアジア系人口比率は50%くらいあるよ。」
「バンクーバーの天気が非常に悪い。今年の冬は42日間連続雨だった。天気がいいのは夏の6月〜8月くらいかな」
「所得税は平均25%、その他に住民税、健康保険代、年金、消費税、全部加えれば収入の50%は取られるのでは?」
「だから、あまりお金が貯まらない。でも、社会保障が充実しているから、まあいいか…」

1時間くらい順番待ちをしながらボブ夫妻と話をしてて、バンクーバーの地元の人でなければ分からない話を沢山聞けて有益であった。

やっとリバティ・フェリーに乗りバッテリー・パークから出航(写真55)する。フェリーは観光客でいっぱいである(写真56写真57)。遠足の子供も多い。ローアーマンハッタンの摩天楼がだんだん遠ざかっていく風景(写真58)は見応えがある。10分もたたない内に自由の女神(写真59)が近づいてくる。一斉にカメラを構える。フェリーは自由の女神の正面(写真60)を通り、裏側の桟橋に到着する。

多くの人がリバティ島で下船するが、降りない人も多い。私は昨年、上陸して自由の女神観光をしたので、今回はパスしてエリス島(写真61)に向かう。この島にある「エリス島移民博物館(写真62)」が興味深い。1700万人もの移民がここから上陸し、現在のアメリカを築いてきたと言われる。彼らの苦難の道(写真63)が写真や遺品で綴られている。私は2度目の訪問であるが、何回来てもためになる博物館である。

お腹が減ってきたのでカフェテリアで昼食を済ませ、その後、コーヒーカップを片手に外に出る。緑の芝生が美しい(写真64)。この芝生からハドソン川越しに眺めるマンハッタン(写真65写真66)は素晴らしい。ここで大休憩をする。芝生に寝転がっていたら、いつの間にか寝てしまった。

ゆっくりしていたら午後4時過ぎになってしまった。帰ろうと思ってフェリー乗り場に行くと長蛇の列、またしても30分以上待たされる。バッテリィーパーク(写真67)に戻ってきたのは5時過ぎである。それでも5月下旬のニューヨークは日が長くて暖かい。夜8時を過ぎてもまだ明るい。観光のベストシーズンである。

この日の夜はニューヨーク・フィルハーモニックの本拠地、リンカーン・センターのフィッシャーホールでニューヨーク・フィルの定期演奏会に行く。指揮は音楽監督ロリン・マゼールである。

 
     
D お金の行き先はここで決まる、ウオール街
 

ニューヨークの株式が大暴落すれば世界の株が一瞬にして暴落する。アメリカ連邦準備銀行(FRB)が金利を上げれば世界の金利に影響する。以前から海外投資をしている私としてはウオール街訪問は避けて通れない。

ウオール街観光の出発はテロがあったワールド・トレードセンター跡地から。ここの地下には地下鉄E線とニュージャージーへ行くパストレインの始発駅があり、朝・夕は通勤客であふれている。黒のスーツをびしっと着込み、小走りにオフィスに向かう人達を見ていると、ここが世界の金融の中心であることを実感する。

リバティ公園からトレードセンター跡地越しに「ワールド・ファイナンシャル・センター(写真68)」が見える。チャーチ通りを南下しトリニティ教会の裏側を通ってウオールストリート(写真69写真70)に入る。道路の一部もブロックされて警戒が厳重である。

まずは「ニューヨーク証券取引所(写真71)」である。2000年のITバブル崩壊後、テロを乗り越えてやっと高値更新をしたニューヨークダウ平均、この先、上がり続けるか?すぐ下がるか?呪文のように繰り返しながらFRBに向かう。

「アメリカ連邦準備銀行(写真72)」を見つけるのに苦労した。アメリカ国旗が降ろされており目立たない。これもテロ対策なのであろう。私はアメリカ国債(ゼロクーポン債)を購入し、現在も所有しているので米国債の金利の行方が気になる。FRBの重厚な建物を見ながらチェイス銀行前の広場(写真73)で簡単な昼食にする。

一休みしてから、再び北の方向に歩いて行く。目的地は市庁舎(写真74)である。ガイドブックの「ニューヨークで最もエレガントな建物」というコメントに誘われて訪れてみたが、その通りであった。市庁舎公園(写真75)も素晴らしい。ちょうど昼時なので、多くの人が昼食を食べながらくつろいでいる。公園の背後にそびえるお城のような高層ビル(写真76)は1913年に建てられた州立ビル。この近辺には美しい建物(写真77)が多い。最高裁判所(写真78)しかり、そしてニューヨークで最初に造られた超高層ビル「ウールワース・ビル(写真79)」がひときわ美しい。

この日の夜はブロードウエイのミュージカル「レ・ミゼラブル」を見に行く。レ・ミゼラブルは私の最も好きなミュージカルで昨年(2006年)の秋からニューヨークに帰ってきた。

 
     
E 留学生気分でニューヨーク大学、コロンビア大学へ
 

「もう一度若返れたら、あなたは何をしますか?」

私は迷わず海外留学をすると思う。残念ながら私の青春時代には海外留学をするお金もチャンスも無かった。今でも学士や修士の資格を取る正規の海外留学は大変である。しかし、短期の語学留学なら難しくない。憧れの海外生活も体験できる。時間とお金に余裕のできた熟年世代が再び海外留学に目を向けるのは自然である。私もいずれやってみたい。

よって、私は海外旅行に出かける時は海外留学の事前調査を兼ねて、可能な限り現地の大学めぐりをする。今回はニューヨークの2つの大学を訪れた。

1831年創立のニューヨーク大学(私立)はグリニッチ・ビレッジの東、ワシントンスクエア・パーク(写真80)の南に位置している。ソーホー、ノリータというお洒落なエリアにも近く全米の高校生に最も人気のある大学の1つであると言われている。ノーベル賞受賞者20人、全米トップ5に入るロースクール、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のカリスマ(前)議長アラン・グリーンスパンはニューヨーク大学(経済学部)出身で、現FRB議長のベン・バーナンキはニューヨーク大学経済学部の教授であった。名実共に全米屈指の大学である。

地下鉄の「ワシントン・スクエア」駅で下車し、東の方向へ1ブロック歩いていくと茶色のビル(写真81写真82)が何棟も連なっているのが見える。学部生約2万人、大学院生約3万人、教員約6000人の巨大大学、しかし、「広大な緑のキャンパス」という私のイメージにはほど遠い街の中の大学であった。ワシントンパークの緑の木々がせめてもの救いである。残念ながらニューヨーク大学の環境には全く魅力を感じなかったので、建物の周囲を見ただけで地下鉄の駅に向かう。

ニューヨークの地下鉄に乗ると、時々、ホームでミュージシャン(写真83)に出会う。私は急ぐ旅でもないので上手い演奏であればしばし耳を傾け、チップをあげる。

次に向かった先はコロンビア大学である。1754年創立のコロンビア大学(私立)は全米1のノーベル賞受賞者82名(2006年10月現在)を擁する。日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹博士もコロンビア大学教授として在任中に受賞した。大学で理論物理を専攻し、湯川秀樹博士のような学者をめざし(挫折し)た私としては記念碑的な大学である。行かねばならない。

地下鉄1番線に乗り「116ストリート」で下車。コロンビア大学の正門(写真84)はすぐ目の前である。門をくぐり、並木の美しい道を東へ進むと広大な芝生が目に飛び込んでくる。「ロー・メモリアル・ライブラリー(写真85)」を中心にして、グリーンの芝生を囲むように大学の建物(写真86写真87写真88)が建ち並んでいる。学生達が読書したり昼寝したりして思い思いの時間を過ごしている。いかにも大学らしい風景、コロンビア大学は私のイメージどおりの素晴らしい大学であった。

コロンビア大学の東側にモーニングサイドパーク、西側にリバーサイドパークがあり周辺の環境は抜群である。大学構内を見学した後はリバーサイドパーク方面に少し下り、リバーサイドパークに沿った歩道(写真89)を北に数分歩いていく。周囲には高級コンドミニアム(写真90)が軒を連ねている。「ここにロングステイしてコロンビア大学に通えたら……」などどいうことを夢想しながら「リバーサイド教会(写真91)」に向かう。

1929年完成のリバーサイド教会は実に美しい。早速正面玄関のエレベーターから塔に上がる。展望台からはアッパー・マンハッタン(写真92)やハドソンリバー(写真93)が一望できる。

この日の夜はメトロポリタン歌劇場へオペラを見に行く。コロンビア大学に語学留学すれば、英語の勉強以外に、連日、オペラ、コンサート、ミュージカル、美術館、博物館めぐりが楽しめる。お金さえあればこんなに楽しめる場所は他にはない。実現できるかどうかは別にしてニューヨークに語学留学するならコロンビア大学に決定である。

 
F 最後はニューヨークの超高級ホテルめぐり
 

伝統と格式あるニューヨークの超高級ホテル、私にはとても高くて泊まれないが、雰囲気だけでも見てみたいと思っていた。ニューヨーク滞在も終盤を迎えた日曜日、私は一日かけて超高級ホテルめぐりをしてみた。ホテルの雰囲気に合うように黒系統のジャケット、黒の革靴を履いて……。

まずは「ウオルドルフ=アストリア(写真94)」。ガイドブック(地球の歩き方、以下同じ)曰く、「歴史を超えて君臨する超ゴージャスホテル、アメリカ大統領、日本の首相など各国政財界要人が宿泊することで有名」とある。まさにVIP御用達のホテルである。行ってみよう!

入り口は至って簡素である。背筋をピンと伸ばしドアマンに軽く挨拶してホテルに入る。自分も日本の VIPになったつもりで気後れすることなく堂々と入っていく。しかし、入った瞬間、美しいマーブルの彫刻(写真95)に出会い、ここが普通の人のホテルではないと直感する。ロビー(写真96)の豪華絢爛さは半端ではない。私はロビーの片隅にある椅子に腰掛けフロントやロビー全体の雰囲気を観察した。たまたま、この日は日曜日でサンデーブランチ(10:30〜14:30)がロビー階のレストランで実施されていた。一般客が大勢つめかけさながらパーティーの雰囲気である。高級アンティークのショップを横目に早めに退散する。

ウオルドルフの隣りに「インターコンチネンタル・バークレー・ニューヨーク(写真97)」がある。「ロビーの豪華さではニューヨークでNo1に違いない」というガイドブックの記述に誘われて行ってみた。確かに天井が印象的なロビー(写真98)である。しかし、ロビーはそれ程広くはなく天井も低い。ニューヨークでNo1かどうかは疑問が残る。

次に向かったのが「セント・レジス・ホテル・ニューヨーク(写真99)」。「ウオルドルフ、プラザに並ぶ歴史ある豪華ホテル」というガイドブックの紹介は正しかった。2階まで吹き抜けのロビーの天井壁画ときらめくシャンデリア(写真100)、暖炉のあるサロン、レストラン(写真101)の壁一面の壁画も素晴らしい。ここはニューヨークにおける貴族の館である。

私はこのホテルが非常に気に入ったので、レストランの一角にあるラウンジでジュースを注文し、しばらく休憩した。オーダーの時、ウエイターから私のセカンドネームを聞かれた。マンダリン・オリエンタルと同じである。平然と答える。セント・レジスはニューヨーク近代美術館の近くにあるので、美術鑑賞の後、ここでティータイムをとるといいのでは?時間と予算に余裕があれば、このレストランでディナーである。

セント・レジスから5番街を少し北に歩いていくとセントラルパークに面して「プラザ・ホテル」がある。ドルの為替についてのプラザ合意がなされた有名なホテルである。プラザ合意以降、急激な円高ドル安になり日本の輸出産業は少しずつ衰えはじめる。歴史の転換点となった舞台、是非、見てみたい。

その歴史の舞台「プラザ・ホテル(写真102)」は全面改築中、しかもコンドミニアム建設と書いてある。プラザホテルの北側はセントラルパークに面し東側は5番街である。ニューヨークでも最高のロケーション、歴史的なホテルは幕を閉じ超高級コンドミニアムが誕生する。1部屋いくらで売りに出ているのか、興味はあるが、私には関係ない世界なので写真だけ撮って次のホテルに向かう。

プラザホテルから西に少し歩くとセントラルパークに面した「エセックス・ハウス(写真103)」がある。狭いが優雅な雰囲気の漂うフロント周辺(写真104)の椅子に腰掛けこっそり写真だけ撮る。

この日は日曜日ということもあって色々な場所でフリーマーケット(写真105写真106)が開催されていた。エセックス・ハウスの西側、7番街でもやっていたのでぶらぶらする。まるでお祭りである。夕方5時頃になると売り尽くし半額セール等あっておもしろい。

「エントランスに一歩足を踏み入れると3階分の吹き抜けロビーが広がり圧巻」というガイドブックを信じ、「フォーシーズンズ・ホテル・ニューヨーク(写真107)」へ行ってみた。超高層ビルの偉容(写真108)に圧倒される。しかし、ロビーの巨大空間はあまりにもシンプルで拍子抜けである。

最後に訪れたのが「ニューヨーク・パレス・ホテル(写真109)」。セント・パトリック教会の向かいにある豪華なホテルである。天井の大壁画、吹き抜けの2階から釣り下げられた大きなシャンデリア(写真110)、大階段から続くふかふかの絨毯(写真111)、パレスホテルの名前に恥じることなく、ここは確かに宮殿(パレス)である。ロビーの椅子にゆったりと腰掛け、しばらく室内を観察しながら休憩する。最後にトイレを借りて外に出る。

私は以前はアメリカ嫌いであった。銃の横行、犯罪の多発、治安の悪さ、競争社会、格差社会等、アメリカに対するマイナスのイメージは多い。しかし、何度もアメリカ旅行をするうちに私の心に変化が現れた。

アメリカは極めて太っ腹で活力に満ちあふれている社会である。アメリカには世界中からお金が集まり、才能ある人はアメリカを目指す。自分の国の未来を信じられない若者は故郷を捨て、アメリカに夢を託す。「お金」か「才能」か「若さ」があればアメリカは実に魅力的な国である。私はそんなアメリカの中心「ニューヨーク」が好きになった。

 
     
G 一般情報
  ニューヨークの超高級ホテル
(括弧内は各ホテルのスタンダードツインまたはダブルの1泊の客室料金:2007年9月の平日料金、諸税別、インターネット調べ、日本円は1$=120円で換算)

◎ マンダリン・オリエンタルホテル
http://www.mandarinoriental.com/newyork/
($935〜、11.2万円〜)

◎ ウオルドルフ=アストリア
http://waldorfastoria.hilton.com/
($799〜、9.6万円〜)

◎ インターコンチネンタル・バークレー・ニューヨーク
http://www.ichotelsgroup.com  日本語サイト
国(アメリカ)州(NY)都市(ニューヨーク)→検索
($599〜、7.2万円〜)

◎ セント・レジス・ホテル・ニューヨーク
http://www.starwoodhotels.com/stregis/index.html  日本語サイト
($1095〜、13.1万円〜)

◎ エセックス・ハウス
http://www.jumeirahessexhouse.com/  日本語サイトあり
($599〜、7.2万円〜)

◎ フォーシーズンズ・ホテル・ニューヨーク
http://www.fourseasons.com/newyorkfs/
   ($1050〜、12.6万円〜)

◎ ニューヨーク・パレス・ホテル
http://www.newyorkpalace.com/
($670〜、8万円〜)

                                        (2007年8月 掲載)